大阪北浜 MacBook Pro 13inch 2016 A1708 ディスプレイを60度以上開くと画面が消える修理
MacBook の中でも特定のモデルに多い可能性もある故障の中に、[ディスプレイを一定の角度以上開けると映像が消えてしまう]という現象があります。
使い方が悪かったというよりは設計上の問題というレベルな気もしますが、フラットケーブルの疲労耐性が低く内部の極細の金属線が断線してしまう、断線しかけている事によって引き起こされる現象です。フラットケーブルの曲げ伸ばしの限界を超えた時に起きてしまうんでしょう。何千回何万回曲げ伸ばしを繰り返してもいい様に製造されているとは思いますが、使用環境、使用方法によってはどんなモデルでも起こりうる故障の一つです。
MacBook のディスプレイと、パームレストキーボード側、この二つは左右のヒンジで開閉できる様に固定されていますが、ディスプレイ側をパーツごと交換してあげれば簡単に復旧ができる故障内容ですが、ディスプレイ新品のパーツとなると、かなり高額になります。
アクティベーションロックがかかってしまい必要ない、修理でお預かりしていたがご予算の関係で買い取る、引き取るなどの理由でとても綺麗な MacBook を下取りしたり買取したりすることもありますが、販売できない理由によりパーツ取りのために在庫している端末も多数あります。その様なパーツ取り機器があればその場で交換対応も可能ですが、全ての機種、カラーが揃っているわけではないのでその場で交換対応ができない場合もございます。
そうなると、海外から取り寄せが必要であったり、国内でも納期がかかってしまうため、それまでに納期も短く、価格も機種によっては半分程度でお修理が可能な【ジャンピングワイヤー】という技術があります。
フラットケーブルというものは、頑丈で薄い母材で電流が流れる銅などの金属線を挟んだサンドイッチの様な状態になっており、そのままの状態で電流が流れる金属線にたどり着くことは本来はできません。金属線が見えてしまうほどしっかり折れてしまう場合もありますが、ほとんどの場合は、母材に多少無理して曲げた様な折り目があったりする程度で、金属線は見えません。
どこが断線し、断線を解消するためにジャンピングさせる必要があるかは、母材をめくり、削りとり、金属線が見える状態にしテスターでの導通確認を行う事で断線箇所を特定する必要があります。
とても細い金属線が密集して並んでいます。幅が0,1mmや0,05mmなど、本当に細い金属線が密集して並んでいると、テスターの先端、テスターピンやチップと呼ばれる金属の針の様な部分もそれに適した細さのものに変更する必要がある場合もありますし、正確にテスターピンをどこに当てて導通確認をしているかを目で確認するために顕微鏡等を有効に使用しないといけない時もあります。
全ての工程で確認もれや間違いがあれば成功する修理に到達することができないため、確実に正確に一つ一つの工程をこなしていくには技術と経験が必要で、また適した機材も重要になります。ハンダはジャンピングワイヤー用のものを使用しているか、どの様なピンセットを使用するか、ハンダの温度は適切か、使用するジャンピングワイヤーの太さは適切か、様々な要素を確認して作業を行なっていきます。
とても精密で繊細な作業のためほとんど肉眼ではなく、顕微鏡で行う作業となりますが、長く顕微鏡を覗き続けると目が疲れ作業効率が悪くなったりするので、適度な休憩や他の作業を行い気分転換をする必要がある場合もありますので、無理に何時間も顕微鏡を覗き続けることでいい作業ができるとは言えません。
ジャンピングワイヤー修理は、MacBook のディスプレイだけでなく、あらゆる場面で有効な技術です。他店で画面修理をした時に、ホームボタンが千切れてしまって指紋認証ができなくなった iPhone でも、ホームボタンが手元にあれば、接続し直し、復旧させることができたり、誤って修理作業中にどこかのケーブルをちぎってしまった時も自分のミスを自分で修正することも可能になります。
機材や技術が求められる性質上、修理屋さんでも難しい作業として、同業者様からご依頼いただくこともありますので、需要のある作業技術と言えると思います。
箇所の特定が適切でなかったり、様々な要因で、復旧ができない場合もありますが、 MacBook のディスプレイの場合だと、ディスプレイのパーツ交換に移行することもできますので、端末の復旧させるという目的では選択肢があります。
お客様の要望や予算、納期など様々な要素を考慮し適切な修理方法を選択することができる様になるために、日々多くの技術を身に付けていくための努力を続けております。
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